富士山の力

私が父の転勤で大坂から東京に引っ越ししたのが小学校5年生の時。今から約60年前。笑っちゃうくらい昔ですが、おじいさん、おばあさん、そしてお友達からお別れするのが初めての経験で伊丹空港では何だか悲しい旅立ちでした。あの頃はプロペラ機で未だ新幹線が走っていなかったんだと思います。5月3日憲法記念日はいつもこんなことを思い出しますが、東京に近づいてくると大きな富士山が窓の外に見えて圧倒され、明日から新しい生活が始まるんだなと思っていました。私はその後富士山の上空で悲しいお別れと、やっと日本に帰ってきたとホッとする富士山とを経験しました。先日、スーダンの危険区域から帰られた認定NPO法人「ロシナンテス」の理事長の川原さんが「富士山が見えた時は本当に涙がこぼれました。」とお話しされたのを聞いて凄く気持ちが分かりました。私とは比べようもない危険があったわけですが、富士山が大きな手を広げて『おかえりなさい』と迎えてくれます。